2000年頃から韓国の映画やドラマ、音楽などのコンテンツが中国や日本を中心とする東アジアに積極的に輸出され始めた。そのコンテンツの流行は総じて「韓流」と呼ばれるようになった。韓国では、1990年代後半からコンテンツ産業の活性化と国際競争力強化のために、法や支援体制の整備を行うなどコンテンツ産業発展に向け、様々な政策を打ち出している。これらの政策が近年の韓国コンテンツの流行の要因の一つとなっていると考え、第1章では1998年以降の韓国政府が行う政策に触れ、第2章では日本と中国での韓流が、観光産業などの他分野にどのような効果をもたらしたのかを分析する。第3章では、日本のコンテンツ産業政策に触れ、韓国と日本のコンテンツ産業政策の特徴や違いを考察する。
日本と中国における韓流では、観光客の増加や韓国製品の購入意欲向上など、他分野への影響がみられた。コンテンツと他分野を連携させ、効率的な海外展開を行う韓国に対して、日本は分野ごとの取り組みにとどまり、ビジネスに活かされていないことが問題点として挙げられる。現在、日本のコンテンツ市場はアメリカに次いで世界第2位であるものの、規模は縮小傾向にある。そのため内需の拡大を目指すと共に、コンテンツ産業をビジネスに結びつけた海外発信を積極的に行っていくことが重要であると考える。