近年では様々な音源を持つ電子楽器が誕生している。これらの音源はサンプリングにより録音されるものと、コンピュータ合成によって作られるもので大きく2つに分けることができる。だが、前者サンプリング方法の場合も最終的にコンピュータで編集されるため、一つの楽器の音を作るにしても両者に音の差はあまり出ない。しかし、後者のコンピュータ合成に基づく方法では新たな音づくりの点で有効である。
そこで、本研究では、パーカッション音の合成を取り上げコンピュータによるドラム音源を構築した。
今日、電子的なドラム音源にはサンプリング音源を用いることが多いが、本研究では、自在な音作りのためのツールとして規則周期信号や雑音を基にコンピュータ合成方法に着目した。対象としたドラム楽器は、バスドラム・シンバル・スネアドラムの3種である。また、製作にはPureDataを用いる。
使用する音源信号としては、バスドラムとスネアドラムには正弦波信号、シンバルには雑音を用いた。次に過度的な変化を表すのに重要となるのがエンベロープである。そこで、実際の録音波形から最適なエンベロープ形状を作り出した。
さらに、ドラム音源の検証にはリズムを生成する必要があるのでリズムシーケンサを製作し、本合成手法の有効性を確かめた。