音の空間性に着目し、画像と連動させたバイノーラル再生を目的とした機器を設計した。この機器ではJoystickを用いて、360°のあらゆる方向に画像(シンボル)を動かし、画像の位置にあわせて音像が定位させることができる。
バイノーラル再生と画像動作に関する部分にはビジュアルプログラミング言語であるPure Dataを用い、「Spatialization」ライブラリの一部を応用した。Joystickの動作にはフィジカル・コンピューティング・ボードのArduinoを用いた。
開発したプログラムでは、Joystickの出力を頭部伝達関数(HRTF)のパラメータ(正面から反時計周りの角度。水平面からの上昇角)に変換して適用するようにした。また、画像(シンボル)を動かすため、Pure Data内のView-OSDライブラリを応用し、ウィンドウ内の画像をマウスでクリックしながら動かすことによって見える位置を変えられるようにした。
これらの二つを組み合わせることにより、実際に想定された音源の画像と連動した3次元音像定位が可能なバイノーラル再生系を構築することができた。