ドラマ『ドッペルゲンガー』の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成23年度卒業研究概要集] [平成23年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成23年度卒業論文
ドラマ『ドッペルゲンガー』の制作
森 眞也
冨川 穂高

このドラマは、主人公の若者が、自分とは全く性格が違う「もう一人の自分」と向き合うという不思議な体験を通じて、自分自身が変わろうと努力するようになるという成長物語である。

大学時代の同級生、今は社会人となった戌亥(いぬい)・三鏡(みかがみ)・瀬田(せた)の3人は、卒業後久しぶりに再会、学生時代の戌亥に起こった不思議な体験の思い出話となる。4年前、戌亥は夢の中で謎の男(もう一人の自分)が自分に話しかけてくる夢を見る。はじめは気にしなかった戌亥だが、やがてその声は現実生活でも聞こえるようになり、ある日、目の前にドッペルゲンガーとして現れる。幻覚かと驚く戌亥。その後もドッペルゲンガーは度々出現しては戌亥の生活に手を出すようになる。まるで戌亥の居場所を奪おうとしているようなふるまいに対決の構えをとる戌亥だったが、やがてドッペルゲンガーの真の狙いに気づいていく。それは、内気で気弱だった戌亥に、自ら足りないものは何かを気づかせ、それを克服し成長させてやろうというものだった。

本作では、そんな主人公の姿を、時に真面目に、時にコメディタッチで描きながら、ふとしたきっかけからでも、自分自身を変えていける事に気づき、努力しようとする若者像を表現したいと思ったが、その狙いをおおむね達成することができたと考えている。

反省点としては、出演者が演技練習をほとんどしないままクランクインしてしまい、全体的に演技力不足になってしまった。そのため、本作のメッセージが観客に伝わりにくいものとなってしまったことである。主人公の戌亥は1人2役という難しい役どころだったが、現実の戌亥とドッペルゲンガーとでは、もっとメリハリをつけて演じ分けるべきだったと悔やまれる。そのほか撮影前に明快にしておかなくてはならない問題を、撮影当日に考え込み始めてしまい、思うように進行できないということもあり、撮影前の入念な準備が必要だった。

本作の制作に関しては、伊藤ゼミ生だけでなく他ゼミの友人らも、スタッフ・キャストとして参加してくれたほか、伊藤ゼミのOBも編集作業に協力してくれたことで無事に完成させることができた。今回の体験から、映像作品というのは1人では作れないものだということを痛感し、あらためて自分の周囲の人々への感謝の念を抱いた。