野球におけるバッティング指導方法はさまざまな種類がある。また、多くの先行研究や教本もあり、なにをどのような順番で行うかは多種多様である。しかし、どの指導パターンがより効率的におこなえるかの記載は明確ではなく、練習効率を考える上で問題があると思われる。
本研究では、野球未経験者を対象にし、さまざまな種類の先行研究の中から、比較的多く書かれている指導パターンをいくつか選択し、どの指導パターンが効果的に伝わり、スイングスピードがどのくらい向上するのかを、専門用語をなるべく使用しない言語教示による指導としておこなってみたものである。
被験者は大学生男子2名で、学校体育以外でのスポーツ経験はあるものの、野球経験は遊び程度であり小、中、高と部活動などで野球指導を受けていないものとした。ハイスピードカメラを2台用意し左斜め前、右斜め前の2か所に設置し撮影した。言語教示は実際の指導場面を想定し1,2分程度で指導し、試行数はそれぞれ5球ずつおこなった。また、すべての指導パターンにおいて球をピッチャーに向かって打つイメージになるようにスイングさせた。実験に用いたのは以下の4パターン、パターンA: 自由におこなう(言語教示なし)、パターンB:肘を体幹につける、パターンC:体軸の回転を利用する、パターンD:グリップエンドから始動する、である。
結果として、両者のスイングスピードは、パターンD:グリップエンドから始動する が被験者A 87km/h、被験者B 83km/hと、両者とも一番速度が高く、今回の研究では一番効果的な教示であったと考えられる。