連載マンガにおけるオノマトペ含有率の変化 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成23年度卒業研究概要集] [平成23年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成23年度卒業論文
連載マンガにおけるオノマトペ含有率の変化
齋藤 日歌里

オノマトペとは擬音語の総称であり、マンガの情景表現としてオノマトペは非常に重要な役割を持っている。オノマトペの無いマンガは近年ではまず見ることは無い。時代は進むにつれて生活様式や文化は多様に変化するため、マンガの中におけるオノマトペの数も時代の流れと共に変化しているのではないかと考えた。

オノマトペの時代変化を調べた研究によると、平成18年代の作品になるとオノマトペの無記入/無音率が戦前マンガの80%に比べ0%になり、オノマトペが欲しくなるような未成熟なコマが存在しなくなるという結果が得られていた。また、取り上げられている作品が戦前、あるいは戦後間もない1948年や1957年の作品が多く、比較対象になっている最新のマンガは2006年までであった。

そこで1976年から2012年の間に長期連載している、あるいはしていた作品と、同一作者による野球マンガを用いて連載という時代変化の中で本当にオノマトペは増加しているのかを明らかにする事を目的とした。

結果として、話の大筋が変わった事や、作画担当者の画力の変化によってオノマトペ以外の表現方法を用いた事でオノマトペが減少したと思われる例外もあった。しかし、時代が進むにつれて単純にオノマトペが増えるという事ではなく、時代の変化によって"マンガの中で描写される物"が変わり、その変化をマンガが映し出してオノマトペが増えると推測されるマンガがあることが分かった。