ノイズキャンセリングヘッドホンおよびイヤホンにおける騒音低減効果の測定 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成23年度卒業研究概要集] [平成23年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成23年度卒業論文
ノイズキャンセリングヘッドホンおよびイヤホンにおける騒音低減効果の測定
大木 佳奈

平成19年度卒業・小林大樹さんの『ノイズキャンセリングヘッドホンの性能評価に関する研究』を参考にし、ノイズキャンセリングヘッドホンおよびイヤホンのノイズキャンセリング(ANC)機能はどの周波数帯域で働いているかを比較・評価する。過去の研究の問題点として、測定に用いる雑音のレベルは時々刻々と変動するため、測定時間が短いとANC機能のON・OFFの差が明確でないことが挙げられる。本研究では、ANC機能のON・OFFの差を明確にするため、測定時間を長くし、より平均的な値を出すことを目的とする。

実験は、3種類のANCヘッドホン(フィードバック方式・フィードフォワード方式)およびANCイヤホン(イヤーチップ中・大)を装着したダミーヘッドに4つの測定音源(ホワイトノイズ・ピンクノイズ・地下鉄内の音・純音)を聴かせて収音し、オーディオインターフェイスを介したPCで分析していく。条件として、ANC機能ON・OFF(装着のみ)・装着なしを測定する。実験結果からANC機能ONとOFF(装着のみ)の差を出し、騒音軽減効果がどの程度あるかを比較する。

ANCヘッドホン(フィードバック方式)は、4つのどの測定音源でも100Hz〜1kHzの周波数帯域でANC機能ONの遮音効果が高く、1kHz〜10kHzの周波数帯域ではANC機能の効果が得られなかった。ANCヘッドホン(フィードフォワード方式)は、4つのどの測定音源でも100Hz〜1kHzの周波数帯域・1kHz〜10kHzの周波数帯域共にANC機能の効果が得られなかった。ANCイヤホン(イヤーチップ中)では、ホワイトノイズ・地下鉄内の音ではほとんどANCの機能が得られなかったが、ピンクノイズの100Hz〜1kHzの周波数帯域でANC機能の効果が若干得られた。ANCイヤホン(イヤーチップ大)は、ホワイトノイズ・ピンクノイズ・地下鉄内の音ではANC機能の効果はほとんど得られなかった。純音でのイヤーチップ中と大を比較すると、500Hz〜800Hzの周波数帯域で同等のANC機能の効果が測定された。

今回の研究を通して、100Hz〜1kHzの周波数帯域でのANC機能の遮音効果が測定されたが、1kHz〜10kHzの周波数帯域でのANCの機能はほとんど測定されなかったため、1kHz〜10kHzの周波数帯域ではANC機能の効果が得られないと考えられる。また、総合的に100Hz〜1kHzの周波数帯域でANC機能の遮音効果が高く測定されたのはANCヘッドホン(フィードバック方式)であった。