メディア産業における構造転換とその可能性 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成22年度卒業研究概要集] [平成22年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
圓岡 偉男 ゼミ 平成22年度卒業論文
メディア産業における構造転換とその可能性
加藤 大援

我々の社会は常に何かを求め、何かを消費して生活している。その消費を行う行動を消費行動という。それら消費行動により行動である選択様式及びそれに関連する生活行動が本稿の取り上げる主題でもある。これらは、消費行動と特殊な行動を比較して消費行動の本質を見極めるための基本的な概念でもある。そのような特殊な消費行動を具体的に分析する時に一つの消費者モデルが存在する。その特殊な消費者モデルを本稿ではオタクと呼ばれる層のユーザを対象にしたものである。オタクという層にも細かいカテゴリーが存在し、その中でもライトユーザーやヘヴィーユーザーといったオタクとしてのこだわり具合の強度、程度の差がある、それらを区別し分析することで、一般の消費者行動に通じる部分との違いを明確化することを通して、一般層には無いオタクの特殊性を見つける特殊な消費行動と呼ばれる物を第三者の目から見ても具体的に明確に示すことが可能になるであろう。それらに関連することを、本稿での考察により、消費行動の本質の一つの形態には、強い個性によって、特殊な消費の誘発が起こっているのではないか分析された。その個性は、一般の人々にも親しまれる力を秘めている。差異によりもたらされた独特のキャラクーによる愛着が特殊な消費を好んで誘発するきっかけになるのである。そのキャラクターが織り成す独特の個性的な物語の世界に引き込ませることができる魅力を持つものが、一般の層にも通じたオタクの消費の実例だといえる。その対象の個性に関心を失わない限り、求心力があるかぎり特殊な消費とは誘発されるのだ。この考察が本稿の基盤であった、消費行動と特殊な消費行動を比較したときの消費の本質の一つの考察結果が、この個性によってもたらされる特殊な消費の誘発であるといえる。ここにメディア産業における構造転換とその可能性を見て取ることができるのである。