本論文は、日本プロ野球における独自文化として発展してきた鳴り物応援の歴史を紐解き、この20年間で最も応援スタイルが変化した千葉ロッテマリーンズを中心として、旧来の応援スタイルからサッカーなどの新たな応援スタイルを取り入れた経緯を論じたものである。
広義におけるプロ野球における鳴り物応援は、1952年に国鉄スワローズ応援団の岡田正泰が家庭のフライパンを叩いて応援したのが始まりとされ、大学野球の応援の影響を受け、1975年に広島東洋カープ応援団が球場にトランペットを持ち込んでの応援を始めた。以降、各球団に鳴り物を用いた応援スタイルが浸透する。
ロッテ球団における鳴り物応援は1982年からである。当時の応援スタイルは現在の他球団の応援スタイルと同様のメガホンを用いたものであったが、1995年にチームカラーを一新したことで応援スタイルも声と手拍子を中心としたサッカーやメジャーリーグから取り入れたものに変更した。ファンも選手と共に戦うという意味において、ユニホームの着用、ジャンプしながらの応援など従来の常識を破った様々なスタイルがマリーンズファンから生み出され、メディアからも注目を集めるようになった。
こうしたマリーンズの独特ともいえる応援スタイルと相対する他球団の応援スタイルとの違いや、選手一人ひとりに与えられたオリジナル応援歌についても本論文では合わせて論じている。
なお、論文の特性上、文章で伝わりにくいことも多いため、私がこれまでの在学中に全国の各球場に赴き撮影したプロ野球の応援風景をまとめた映像作品を添付資料として、本論文と合わせて提出することとする。