自動車のエンジン音の合成に関する研究 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成22年度卒業研究概要集] [平成22年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
小泉 宣夫 ゼミ 平成22年度卒業論文
自動車のエンジン音の合成に関する研究
阿部 健一

効果音はマルチメディア作品を制作する上で重要な要素の一つである。そのため効果音の作成には様々な手法が考えられてきており、現在主流な効果音作成方法は実際の音を録音して編集を行い使用する方法、擬音道具を用いて効果音を作成する方法、コンピュータを用いて効果音を合成する方法の3つである。

この中のコンピュータを用いての合成方法に本研究では着目し、マルチメディア作品で取り扱われることの多い「自動車のエンジン音」について検討した。よりリアルなエンジン音を作成するには、エンジン音をデータで表した際の特徴を掴み、合成で作ったエンジン音もその特徴に近づけることが、より完成度の高い合成音を作成する上で有効である。

そこで、実際に2台分の自動車のエンジン音の録音を行い、「Pure Data」を用いて自動車のエンジン音の合成を行い、それらの比較を行った。2つのエンジン音の周波数スペクトルと波形を調べた結果、スペクトルはいずれも広帯域な不規則分を含んでいることが分かった。しかしそれ以上の類似を見出すには至っていない。

エンジン音といっても特定のモデルがあるのではなく、個々のエンジンにより様々な違いがあるため、合成するにあたっても試行錯誤が必要であり耳を頼りに数値化する必要がある。しかし合成音は、アクセルの使い方などの様々な変化に対し自在に対応することができるので、CGなどに用いる音としては有効である。