「フォント」。
本を始め、日用品から服飾のブランド名、標識など、様々シーンに登場する文字達を効果的に魅せるため発達してきた、人の技術。その魅力は、「元となる文字があれば誰にでも、どんな形にも『自由に』技巧を凝らし発表することができる」ということだ。
必要なものは文字の元の形を知っていることのみ。文字はどこまでもフリー。だからこそ今日まで国ごとに広く使われ、時には国境を越えて使われ続けられてきた。
今、フォントの数は有料から無料のものまで数え切れない程ある。図形を模したフォント、動物の形を模したフォント・・・中にはフォントとして扱えるものかどうか曖昧なものもある。
本論文ではフォントとして扱うかどうか、「曖昧な位置」に存在するフォントに近いものを筆者自らが考える「フォントの定義」にあてはめて、改めてフォントとして扱えるものか、そうでないものか検証し、フォントが持つ新しい可能性(=フォントと判断したもの達)を発見していくものである。