バドミントンショットにおける運動連鎖研究 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成22年度卒業研究概要集] [平成22年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
石井 政弘 ゼミ 平成22年度卒業論文
バドミントンショットにおける運動連鎖研究
吉田 春彦
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全身を使った動作には、全身の関節を順序良く加速させることでボールやラケットの速度を効率良く加速できる「運動連鎖」という考えがある。本研究は、この「運動連鎖」をバドミントンのハイクリアー、スマッシュ、カットの3種類のショットではどのように違うかについて比較、分析したものである。

被験者はバドミントン歴9年、大学バドミントン部所属の男子学生で、千葉県の新人戦のダブルスで優勝経験のある選手である。この被験者に、縦1m50cm、横2m61cm、高さ3m5cmの空間を想定し、これを撮影エリアとして動作を行わせた。その動作を2台のデジタルビデオカメラで2方向から撮影し、映像データを元にDLT法を用い3次元分析等を行った。

連続写真による分析では、ハイクリアーは膝の屈伸が最も浅く、頭上でインパクトしていた。これに対し、スマッシュは膝の屈伸が最も深く、頭上よりやや前方でインパクトしており、カットはスマッシュに比べ膝の屈伸がやや浅かった。

そして、各ショットにおける身体各部位運動速度の比較では、いずれのショットもインパクト時のラケットヘッドが最も速く、また関節から関節へと加速していた。ハイクリアーは、自分の守備体勢を整えるために使う高い軌道を描くショットのため、速度はあまり上がらず約90m/secにとどまった。スマッシュは攻撃威力の高いショットのため、約130m/secと最も速かった。カットは、シャトルに回転をかけネット際ギリギリに打つショットのため、約110m/secであった。

本研究では、各ショットの性質上インパクト時の速度に差が生まれたが、いずれのショットも関節から関節へと加速していたため、ほぼ似たような形での「運動連鎖」が起こったのだと思われる。