本研究では、外野手の送球動作について以下の3パターンを比較した。1)「打球に対して、落下地点の3〜4m後ろから勢いをつけて捕球し、その勢いを利用して送球する(理想パターン)」2)「打球に対して、落下地点にすぐ入り、捕球してから助走し送球する(スタンディングパターン」3)「打球に対して、目測を誤り、落下地点よりも前進してしまい、背走しながら捕球して助走、送球する(背走パターン)」である。A捕球からリリースまでの時間とB捕球から内野に帰ってくるまでの時間に違いがあるのか検証した。被験者は野球経験11〜13年の大学生3人で行った。ホームベースからレフト方向に60m離れた所に2m四方の枠をつくり、そこに被験者を立たせ捕球、送球動作を行い、2塁と3塁をつなぐ線を通過するまでをハイスピードカメラで撮影し、時間を計測した。3パターンの送球動作を比較してみると、「理想パターン」がA、B両方とも「スタンディングパターン」「背走パターン」よりも速いという結果がでた。「理想パターン」は捕球前に勢いをつけておくため、スムーズに送球動作に移れるのに対し、「背走パターン」は捕球する際に体勢を崩してしまうため、体勢を立て直してから助走、送球に移るためA、Bの時間が遅くなってしまったと思われる。