日本の漫画について、数多くの書物や言説が存在する。その要因は漫画の歴史や作品、作者、出版社と「漫画」と一口に言っても様々な切り口があり、様々な解釈が出来ることにあるだろう。私は卒業論文制作にあたって様々な漫画についての書物・言説を読んだが、「手塚治虫」を代表とする過去の著名な漫画作品、漫画家に関する文献は多く存在したが、テーマが現在に近づけば近づくほど文献の数は少なかった。それならば、今までに多くの前例がある題材よりも新たな題材について制作しようと考え、あまり言及のされていない2000年代の言うなれば「現代のマンガ」を論文の題材にする事を決めた。
漫画の過去と現在で大きく変わった点はその媒体、形態である。それは我々の生活の、時代の変化に伴っているためである。マンガの新たな媒体・形態を元に、マンガの現状を見つめ、マンガの今後を展望出来るのではないかと考え、「マンガの現状〜媒体・形態の変化を手掛かりに〜」と題し、2000年代に登場したマンガの新たな媒体・形態についての考察を行う。