近年、情報化は更に進みインターネットは誰もが手軽に情報を入手できるツールして一般化した。しかし、インターネットが発達するにつれ、それに伴なう問題も浮上してきた。インターネットは個人が不特定多数に情報を発信することができ、それゆえに過激で有害な情報も個人の主観で発信、流出し続けられているのである。
また、インターネットの一般化は、有害情報の流出だけが問題ではない。出会い系サイトやSNS、掲示板などを使った性犯罪の増加である。中でも、被害にあっているのは幼い児童生徒が大部分を占めており、青少年を性の対象とする大人たちにとって、格好の出会いの場になっているのだ。本論文では、そういった児童生徒を取り巻く性的環境の変化をインターネットの一般化という観点から分析し、現代における性犯罪の実態を明らかにした。
また、性犯罪を抑制する各国の取り組みを比較し、近年我が国でも改正案が提出され議論になっている児童ポルノ法の問題、青少年保護育成条例の問題を規制派と規制反対派の両方の立場から分析を行った。
後半では、実際に児童生徒の性行動に焦点を当て、児童生徒の性意識の変化や性行動の変化を分析。性行動が低年齢化している場合に問題となる性感染症と妊娠中絶の実態を取り上げ今後の課題を示した。
若者の性意識、性犯罪の実態と性を取り巻く現状と課題を明確にすることで、今後の性の在り方を考えることを本論文の目的とし、インターネットや先行研究、各調査機関のデータを参考に現状と課題を論じたのが本論文である。