ビルボードチャートにおける長調と短調の割合の時代変化の再分析 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成22年度卒業研究概要集] [平成22年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成22年度卒業論文
ビルボードチャートにおける長調と短調の割合の時代変化の再分析
川村 宗

日本人の音楽に対する好みが近年に至るまで大きく変わってきていることがわかっている。古くから「悲哀」や「感傷」と、それらを反映する短旋法音階の音楽が日本人に好まれていた。しかし、西洋音楽導入により日本人の音楽に対する好みが短旋法音階から長旋法音階の音楽に変わっていった。

そこで、アメリカのビルボードチャートの長調、短調の割合を調査し、アメリカ人の音楽の好みが時代によりどう変わってきたかを調べることにした。また、過去にこの研究をした吉田宏則、佐々木彩の結果より信頼性を増やすことを目的とした。

研究の方法はまず、アメリカのビルボードチャートの1955‐2004年のヒット曲TOP20を収集し長調、短調か判断し、どちらか判断しにくい曲については、分類不能にした。そして、過去の2人のデータと共に長調、短調、分類不能の割合の比較を行った。

比較を行ったところ、アメリカのビルボードチャートでは1955‐1974年までは長調が多く見られ、この年代には明るい感じの曲が多いことがわかった。しかし、1975年からは短調が大幅に増え、1995‐2004年には長調6割に対し短調4割になった。それに比べ、愛知教育大学の村尾忠廣が行った研究、日本の1945‐2004年のヒットソングにおける長調と短調の割合では、アメリカとは逆に1945‐1984年まで短調が多く見られ、この年代には暗い感じの曲が多い。そして、1985年以降からは長調が徐々に増えていきアメリカのビルボードチャートとは異なる結果を示した。

日本では長調の曲が多くなってきていることから好みは大きく変化していったことが読み取れる。また、アメリカのデータからも短調の曲が多くなってきていることから好みが変化していったことが読み取れるので日本人の好みも変化していったように、アメリカ人の好みも変化していったことがわかった。