人間は聴覚と視覚で外界から情報受け取っている。この二つの感覚には間接、直接的に互い影響している。心で同じフィーリングになる、この視覚と聴覚間には「色聴現象」というものがある。
「色聴現象」は、音を聴くと色を感じる現象である。過去の研究では音楽における調、音高、音色のパラメーター、映像や絵などにおける色相、明度、彩度のパラメーターの影響で感情が生じるのが明らかになっていたが、対応する音程と色相変化との関係を取り上げていなかった。
今回は違う音程によって人間が感じた色の色相をPCCS色相の尺度化表現を見出す。音楽経験者群と非音楽経験者群を分けて、音程と感じた色相の関係を調べた。
実験は色覚が正常な大学生3年生と4年生の13人を対象し、アンケートで音楽経験を調べた。C4(ド)を「赤」であると仮定して被験者たちに聞かせ、その次別ピッチの音を聞かせ、この別ピッチの音はC4「赤」と比べて何色と感じることを調査し、音程と色相に関する共通な要因を調べた。また、音色による実験結果へ影響を調べるため、ピアノとオルガン2種類の音色で実験行った。
実験の結果によって2の結論がえられた。それは色聴に関する音のパラメーターは、音高が音色より優先の順位であることと、音高は人によって特定の音程から特定の色を再現する傾向にあることであった。
音程に対応する色の再現は個人よってばらつきがあったが、音程に対して最も多く選ばれた色をある程度特定することができた。その関係はPCCS色相番号と音程の隔たりとが対応するようであった。つまり、Cを赤[2:R]とすると、Dは橙[5:O]、Eは黄[8:Y]、Fは黄みの緑[11:yG]、Gは青緑[14:BG]、Aは青[17:B]、B青紫[20:V]と考えられる。そして、このPCCS色相の尺度化で表現された音と色の等価関係は広く使うことが可能である。例えば、協和音程と対応づけた調和のある色の取り合わせや、音楽教育において鍵盤に色つけて音程を覚えるなどにいろいろ使えるだろう。