「最近の音楽業界は腐っている」という言葉をよく聞く。人によって捉え方は様々だが、CDの売れ行きや、曲に対する質が落ちているとのこと。
そしてデジタル化やインターネットの普及により、人々の著作権意識は著しく低下している。しかし、その技術は成長し続けていく一方で簡単に「音楽」が作れるようになり、「曲」のみを簡単に得ることができるようになった。
また、現代では違法配信サイトが多々存在し、誰でもが無料で「着うた」や「着メロ」をダウンロード出来るようになった。そのため、音楽業界・アーティストへ大きな影響を与えている。
しかし、音楽業界衰退の真の原因は、インターネットの普及や違法サイトの利用率、著作権意識の低下だけではなかった。根本的な原因は、音楽業界とユーザー(リスナー)が孤立してしまっていることにあった。
著作物には、文章・画像・音楽・ゲームと様々なものがあるが、本研究では「音楽」を対象に調査を進めていく。
現在の著作権法第30条では、インターネット上に他人の著作物を複製しアップロードすることは私的使用範囲外とされ犯罪行為となる。そして犯罪にはならないが、ダウンロードをする側も法に反する事になる。しかしこの法があるにも関わらず、この法があること自体を知らない人や、知っていても知らぬフリをしている人が多い。
こういった問題から、この著作権法第30条の改正が行われる。簡単に言えば「アップロードした人だけではなく、ダウンロードした人も犯罪となる」ということ。
音楽業界とユーザーの現状意識と、この改正により音楽業界はどうなっていくのか、改正により解決するのか、この改正についてどう思うのかなど、アンケート調査を含め(対象者:20歳前後)今後の「音楽」「著作権」「人々の意識」はどうあるべきかを、音楽の歴史・日本の音楽と併せ論じていく。
第1章では「研究目的」などの説明、第2章では「音楽」について、第3章では「日本の音楽」について、第4章では「音楽産業」について、第5章では「著作権法第30条」について、第6章では「アンケート調査」、第7章では「まとめ」として結論と今後の課題を述べていく。