今日では映像や音楽といったコンテンツは我々の日常生活において、とても身近なものになっている。それらは技術の進歩によって、新たなメディアを獲得し従来とは異なった表現形態を見せることになった。
最初は単なる音の記録であったが、やがてハードである再生機とソフトであるレコードが販売されることで、再生は当たり前となり、また機器の普及ともない個人での複製も可能となった。また近年はデジタル化によって音質の劣化もなく以前よりも質のいいものが複製出来るようになった。我々消費者の立場からみればとても便利で使いやすい、身近な物となった。しかし生産者の立場からみると消費者のように楽天的にはなれない。現代ではCDを製作し、販売して利益を得るはずが、生産してもなかなか売れない。なぜならデジタルデータは複製することで均質なものが出来上がる。つまり1人がCDを購入すれば、コピーするなりして配布することが可能となる。その結果としてCDを買う必要性が薄れてくることにより、利益も年々減少している。生産者はCDを売った利益によって次の創作活動を行う。しかし利益が減ってしまうと創作活動を継続することが難しくなってくる。結果として我々消費者にも目に見えないだけで、いずれは新たな創作物が出回らなくなるなど、困ることになるだろう。そのために著作権保護を強化するために新たな技術が次々と開発されている。しかし登場した新技術もいずれは誰かによって破られてしまうので、その繰り返しになってしまっているのが現状である。 となると我々消費者が考えを改める必要があるのだろうか。そもそも我々はこの問題をどうとらえるべきなのか。本研究では音楽を中心に著作権の歴史、音楽メディアの成り立ち、そして実際の調査分析を含め検討を試みるものである。