未成年の喫煙防止策として2008年3月から順次導入されていった成人識別ICカード・及びシステムの総称であるTASPO。今までの歴史の中で喫煙に関して様々な規制が布かれてきた。たばこ広告・パッケージ警告文表示・深夜の自動販売機の自主規制などが挙げられるが、今回のTASPOという制度はどの程度未成年に対しての喫煙の抑止力になりうるのだろうか。本論が分析の対象としたのはこのTASPOという社会制度の有効性についてである。
何故未成年の喫煙が禁止されているのか、タバコが未成年の身体に与える健康被害、中毒性ではなく嗜好性と呼べる代物であるか。また、環境に与える被害、これまでのタバコの歴史等も調査し、また、タバコに対する意見は賛否両論であり、出版されている書籍でも(松枝史明『スモーカーのあなたにはタバコは栄養ですタバコ有害論は矛盾だらけ』ハギジン出版2007年)というものがあれば(宮島英紀『まだ、タバコですか?』講談社出版2007年)といったタイトルのものもあり、このように真っ向から対立している意見を出しているが、これら相反する双方の文献を検討することは非常に重要であり、互いの意見を踏まえた上で分析・検討を行った。
さらに日本でのタバコ訴訟の判例、そしてTASPOの現状について調査類型化した。
昨今の世の中ではタバコへのバッシングが強く、喫煙者の肩身はどんどん狭くなっているが、批判する側、喫煙者側双方に具体的なタバコの害について詳しく知っておくべきである。批判するのであればそれなりに詳しい知識を身につけた上でするべきであり、周りが、あるいはテレビがタバコは害があると言っていたから批判する。このような付和雷同なものでは喫煙者との対立が増えるばかりである。逆もまた然りである。お互いがよい関係を築くにはお互いについてよく知ることである。これはタバコ以外にも様々なことで言えることであるが非常に重要なことであるといえよう。
本論では喫煙に関する知識、歴史・環境・健康・経済効果・訴訟問題等を様々な文献に目を通した上でTASPOという社会制度の有効性の検討を行った。