セルゲイ・ラフマニノフは20世紀前半のロシアで活躍した作曲家、ピアニスト、指揮者である。彼は全てにおいて一流で、ピアノ独奏曲、ピアノ協奏曲、交響曲、管弦楽曲、歌曲、教会音楽、歌劇といった様々なジャンルで曲を残した。彼はピアノの楽器を歌わせることにとことん拘った作曲家であり、ピアノを使った曲の人気が極めて高いようだ。彼の代表作として挙げられる《ピアノ協奏曲第2番》をはじめ、《パガニーニの主題による狂詩曲》《ヴォカリーズ》等はフィギュアスケートの選曲として、またドラマにも使われている。そこで、まず第一章では、ラフマニノフの生涯と作風そしてピアニストとしての活躍を述べ、第二章ではロシアからどのように伝わってきたのか、第三章ではソヴィエト政府がラフマニノフの音楽活動に及ぼした影響について、またその頃来日したピアニストについて少し触れ、第四章では戦後(1945年以降)のラフマニノフの音楽は実際にどういったことに使われているのか、ドラマや映画、フィギュアスケートの3つの分野に分けて具体的に作品を挙げて述べていく。