マルチメディア作品には効果音が不可欠である。効果音の作り方としては、実際の音を録音編集する方法、代理になる道具を使って音をつくる擬音道具を使う方法、そしてコンピュータで音を合成する方法がある。本研究は、この3通りの方法を比較し、それぞれの利点、欠点を明らかにするとともにコンピュータ合成技術の可能性を展望している。
コンピュータ合成の方法としてはpure dataというビジュアルプログラミング手法を用い、対象とする効果音として、水をコップに注ぐ音、オートバイのエンジン音、火花が散る音を取り上げその合成プログラムを作った。次に、有効性を調べるにあたり、合成音と実際に録音した音、昔から使われてきた道具を使って作られた音を比較した。プログラミングによる合成は対象とする事象の物理的変化に応じて音を変化させることが容易であるため、その適応範囲は広い。しかし、物理現象を忠実に模擬することはむずかしく、試行錯誤の結果得られたモデルとパラメータによって音を合成している現状であり、まだ完成度は高くないといえる。だが、今後モデル化の検討が進めば、物理的なパラメータと連動させることが多いCG作品の効果音合成としては極めて有効であることがわかった。