人間は声帯や舌などの発声器官の状態を変化させて発声する音を変えているが、発声する音によって特定の周波数が強められたり抑えられたりする。この波形の特徴をフォルマントといい、人間はこのフォルマントの特徴を聞き分けて何の音が発せられたのかを認識しているのである。
本研究では母音発声に着目し、声門で生成される波形の編集とフォルマントによって音がどのように変化するかを視聴できるプログラムを開発した。
音声作成にはPure Dataを使用し、各音の特徴を踏まえて強調したい周波数帯のみを通すフィルターを用いることで、母音である「あ」「い」「う」「え」「お」の5音を再現した。声門で生成される音源波形はマウスカーソルで自由に編集でき、フォルマント周波数はバンドパスフィルタの中心周波数としてリアルタイムに変化させることができるので、生成音への影響をパラメータを逐次変化させながら確かめることが出来るようになった。作成した音声は声として認識できるものの、無機質で多少聞き取りづらいものになっている。これらに人間の発声器官が発するような過渡的な変化を加えれば更に「声」として認識されやすくなるのではないかと考えられる。