ビデオゲームによって提供される娯楽は、その品質がソフトウェアだけではなく、それが稼働するハードウェアの性能によって大きく左右されるという特徴を持つ。これまでにビデオゲームがもたらした新しい世界は半導体技術の進歩に牽引され飛躍的な進歩を続け、地球を覆う巨大な市場を形成してきた。一方、日本には世界市場における中心的なビデオゲームメーカーが存在するにもかかわらず、この数年間ゲームソフト市場の成長が鈍り停滞が続いた。
ソニーから発売されたプレイステーション3は、約5万円という高価格に加え、ハイビジョン映像に対応するモニターがないと十分に映像を楽しめない、などコアユーザーの需要が中心となり、年明けは2〜3万台の販売にとどまった。しかし、同時期に発売された任天堂のWiiは発売から約60週で世界累計販売台数2000万台を達成する大ヒットとなる。
本論では、日本のビデオゲームメーカーの失敗や成功の過程を考察する。また、家庭用ゲーム機の市場形成過程を踏まえつつ、その中で働いた市場・経済メカニズムを分析しながら、ビデオゲーム産業の成長の問題について考察する。