ドキュメンタリー『異文化とのフレアイ〜世界への一歩〜』の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成21年度卒業研究概要集] [平成21年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成21年度卒業論文
ドキュメンタリー『異文化とのフレアイ〜世界への一歩〜』の制作
李 シャロン

このドキュメンタリーは、2009年10月に、千葉市の旭小学校で開催された「小学生と東京情報大学の外国人留学生との交流会」の模様を紹介したものである。

この交流会は、外国人留学生を同校に招いて、子どもたちが留学生に日本の文化を紹介したり、留学生と対話したりすることによって、国際理解の心を育てるということを目的に、数年前から続けられている。2008年度の交流会を体験した同校の5年生(2クラス)全員が、2009年度は6年生となって、東京情報大学の5名の外国人留学生たちと、2回目の交流会を開くこととなった。

番組は、2009年7月4日、子どもたちが交流会へ向けての学習の見通しを立てる場面から始まる。同7日、子どもたちはグループに分かれて発表の準備にとりかかる。彼らの真剣な表情をアップショット中心に撮影。続いて担任の先生にインタビューし、この行事の目的や、昨年の交流会の後で子どもたちにどんな変化があったか、などについて聞く。10月5日、交流会前日の準備状況を取材、そして10月6日、交流会当日を迎える。6つに分かれたコーナーや、留学生たちとの対話の場面などを紹介する。子どもたちと留学生は、一緒に昼食をとりながら自然に仲良くなっていく。最後に子どもたちにインタビューして、番組をまとめる。

この作品では、このような体験によって、子どもたちが何を学び、どのように成長したのかを映像で記録するとともに、このような異文化理解のための教育の大切さを訴えたいと考えた。取材中は、常に2台のカメラで撮影し、取材スタッフをほぼ替えないことで、子どもたちに慣れてもらい、自然な表情が撮れるようにした。また、学校側のご協力で、2008年度の交流会の写真や、2009年交流会の後に書いた感想文などもお借りでき、番組の内容をふくらませることができた。

交流会が始まると、ディレクター本人も留学生として対話に入っていかなくてはならず、番組として必要な場面が撮れていなかったという問題がおこり、同行のスタッフとの打ち合わせが不十分だったと感じた。また、子どもたちの自然なふるまいや肉声がもっと欲しかったのだが、そうしたショットもあまり撮れていなかったために、ナレーションを中心に番組を進めなくてはならず、反省点となった。この番組制作を通じて、事実を伝えながら、その中に自分の思いや意見をこめるということが如何に難しいことか分かった。

今回の交流会を熱心に準備し、十分に自分の役割を果たし、充実した表情を見せる子どもたちに接して、こちらが学んだことのほうが多かったかもしれない。交流会の後、自分もいつか外国留学したいと話す子もいて、このような学校行事のおかげで、将来、世界中の人と対話のできる子どもたちが成長するのだろうと思った。千葉市内の小さな小学校での、たった5人の外国人留学生との交流会ではあったが、子どもたちにとっては、世界への最初の一歩となったにちがいない。