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伊藤 敏朗 ゼミ 平成21年度卒業論文
ドキュメンタリー作品『夢の甲子園〜南高野球部の挑戦〜』の制作
葛西 孝之

この作品は、母校である青森県立弘前南高等学校野球部の部員たちが、厳しい練習を重ねながら、甲子園という夢に向かってひたむきに頑張っている様子を描いた、ドキュメンタリー番組である。

青森県立弘前南高等学校(以下南高)は、全校生徒700人程の普通高校で、文武両道を目標に掲げ、進学校であるとともに運動部の活動にも力を入れている。これまでの南校野球部の知名度は高くはなく、2009年度、3年生主体のチームの甲子園予選の結果は1回戦負けであった。しかし、その後を継いだ1、2年生の中には、中学時代から活躍してきた選手が多く、周囲の期待が高まっている。本作では、この1、2年生で構成された新しいチームにスポットを当てた。

番組は厳しい練習風景から始まる。次に部員達にインタビューして、彼らが将来の夢として、野球だけでなく、自分の進路というものを真剣に考えていることを紹介する。そして新チームにとって最初の公式戦となる青森県高校野球秋季大会の模様を紹介する。最後に、部員たちに来年夏の甲子園予選に向けての抱負を述べてもらって、番組をまとめる。

この作品で伝えたかったことは、進学率の高い高校の野球部にあって、甲子園への夢に向かってひたむきに頑張っている生徒たちの姿である。野球と並行しつつ勉学にも励むということが、どれほど大変なのかということを多くの視聴者に伝え、そんなひたむきな若者たちにエールを送ってやってほしいと考えて制作した。彼らの姿を、リアルに感じてもらいたいというねらいから、番組の中では練習と試合の模様は最小限にとどめ、部室の中の生徒たちの姿やインタビューを中心に構成し、その心情をていねいに描き出すことにつとめた。

反省点としては、試合の模様を捉えたカメラのアングルが単調で、その白熱した雰囲気をうまく伝えきれなかったことや、授業風景の撮影許可が得られず、「文武両道の大変さ」を伝えるカットが不足していたことなどである。

この作品制作を通して、自らの思いを視聴者に伝える番組づくりというものが、いかに大変なことであるかを知った。また、夏の炎天下、いつどこに打球が飛ぶのかわからないグラウンドでの撮影は、予想以上に難しく、普段テレビで見ている野球中継のような映像はなかなか撮れないものだということがわかった。

しかし今回、1本のドキュメンタリー番組というものを、企画・取材・撮影まで、すべて一人でこなしていくなかで学んだものは多かった。自分の母校とはいえ現在では親しい関係者のいない学校に赴いて、様々な交渉をしながら制作を進めていったことで、社会人としてのコミュニケーション能力も向上したように思われ、良い経験だったと考えている。