現在、日本の子どもは病んでいる。病気が日常的になっているかハッキリと意識されない、ましてやなぜ病気なのかも判らない。こういう状況でアメリカの子どもと比較すると病気の性質や原因がよく判ってくる。自分の置かれている文化的位置は、外の世界と比較してみるとよく判るわけである。
日本は世界でもきわめて豊かな国の一つであるが冷静に見渡せば、社会構造や国際社会の状況が大きく変化しつつあり、現状及び将来は決して楽観できるものではない。実際に子どもをとりまく社会環境や家庭生活、あるいは地域社会等の著しい変化は学校教育に幾多の深刻な問題を引き起こしている。非行や相次ぐ少年凶悪事件に見られるモラルの低下、不登校、ゆとり教育による学力低下など実に多くの問題が生じている。現在では教育問題は学校にとどまらず社会全体の存立基盤をも揺るがしつつある。わが国にとって教育は最も緊急を要する問題といってもよい。