卓球スマッシュの動作比較 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成21年度卒業研究概要集] [平成21年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
石井 政弘 ゼミ 平成21年度卒業論文
卓球スマッシュの動作比較
腕木 智之
PDFファイル

本研究は、被験者に卓球での勝負の決め手であるスマッシュを打たせ、初心者と経験者ではどのような違いが見られるのか、3次元分析を行い比較したものである。

被験者は男子大学生4人で、卓球歴約3年の経験者2人をA,Bとし、初心者2人をC,Dとした。分析項目は、ラケット(ヘッド)の高さ変化、身体重心の変化、左脚の踏み込み(=移動距離)であり、それぞれに対して3次元分析を行った。

ラケットの高さ変化では、被験者A,Bは最初のラケット位置から40cmほど下げており、バックスイングをしてから強力なスマッシュを打とうとしている予備動作と考えられる。被験者C,Dは被験者A,Bに比べると20cmほどしか下げてなく、バックスイングをする間も無くスマッシュを打とうとしているため、威力が弱まっていたと考えられる。

身体重心の変化ではインパクト後の最高点から最低点の差は、経験者、初心者共に10cmほどであり、違いは見受けられなかったが、インパクト直前動作となると経験者が約30cm、初心者が約15cmと違いが出ていた。

左脚の踏み込み距離では経験者は共に20cmほど左脚を前に踏み込んでいるのに対し、初心者である被験者Cは踏み込み距離が6cmほどしかない。被験者Dは経験者ほどではないが大きく踏み込んでいる。しかし、踏み込み距離が最大に達するまでが経験者に比べて時間的に遅いため、踏み込みによって得られる力を上手く使えていないと考えられる。

以上の結果から経験者と初心者のスマッシュでは、重心の変化、ラケットの高さ変化、左脚の踏み込みに違いが見られた。初心者は左脚をより速く前に踏み出し、インパクト後にラケットを下げないようにすることによって重心の変化も経験者に近づき、威力のあるスマッシュを打つことができると考えられる。