ユング心理学からみたグリム童話『いばら姫』 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成21年度卒業研究概要集] [平成21年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
茨木 正治 ゼミ 平成21年度卒業論文
ユング心理学からみたグリム童話『いばら姫』
若松 和明

童話は子どもの時、誰もが読んだことのある物語だろう。活字だけでなく、絵本、アニ

メ、映画と様々な媒体で楽しむことができる。現在では、子どものための童話だけでなく

大人も楽しめる童話も数多く発売されている。今回は童話の中でも、「赤ずきん」や「白

雪姫」といった、有名で魅力的な作品が収録されているグリム童話に注目し、この物語た

ちから一体何を読み取ることができるかを詰めていった。

現在では、民族学、民俗学、文芸学、心理学といった様々な立場から研究されている童話研究だが、この中から心理学を選んだのは、心理学を学んでいない者から見ると、胡散臭さをどうしても感じさせてしまう点が心理学による童話の分析にはあり、それによってかえって、通常の視点とは違う、新たな童話の楽しみ方を見つけることができるのではないかと思ったからだ。

心理学といっても、いろいろな種類があるが、夢診断などで有名な「ユング心理学」を

選択し、グリム童話の中からは、「眠れる森の美女」として有名な「いばら姫」を選択し

た。この論文では、「いばら姫」をユング心理学から見た解釈を考察し、グリム童話の新

たな魅力を探ることを目標とした。

結論として心理学から見た童話解釈は、登場人物や出来事を心と結びつけるためか、ど

うしても信憑性がなく、胡散臭い意見に聞こえてしまう。しかし、一般的な解釈と比べて

変わったものが多いため、魅力的に思う考えもあった。今回は、ユング心理学一つだけの

解釈になってしまったため、民俗学などの他の分野との比較をすることによって、また違

った魅力が見つかるのではないかと思う。