同人誌という新たな視点から読み解くマンガ世界 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成21年度卒業研究概要集] [平成21年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
茨木 正治 ゼミ 平成21年度卒業論文
同人誌という新たな視点から読み解くマンガ世界
軒名 一生

マンガの制作に関して、営利を目的としない「同好の士」が資金を出して作成した雑誌(「同人誌」)が、従来のマンガ雑誌である「商業誌」をどのように変化させたかを手がかりに、マンガ世界への新しい視点を構築しようとした。「同人誌」は、1950年代からその存在は認められていたが、一般に認知されるようになったのは、同人誌が初めて有害図書と指定された1990年の「有害コミック騒動」である。これを端緒として、同人誌即売会コミックマーケットが注目され、現在では5万人もの参加者を数えるほどになった。また、このコミックマーケットから、「商業誌」へのリクルートが活発化し、現在では「商業誌」が「同人誌」出身のマンガ家に実質上依存していることが、マンガ産業研究のデータから明らかになっている。この研究では、産業としてのマンガに「同人誌」が与えた影響に限定して言及したが、作品の内容、読者層の変化、マス・メディアやその他外部ファクターの(認知)変化などが、還流して「同人誌」の世界に与える影響についても今後考察を進めていきたい。