愛知教育大学の村尾忠廣の研究では、日本の戦後歌謡曲のヒット曲を長短に分け比率の値を出し、日本人の音楽の好みと時代の変化を照らし合わせながら比較、分析を行った。この村尾の研究を参考に、平成20年度卒業研究において吉田宏則がアメリカのビルボードチャートはどのような傾向にあったのか、TOP20曲を長旋法と短旋法に分け比較、分析を行った。しかし、彼一人で研究を行ったため、長短の判定の信頼性があるのかわからない。そこでそれを踏まえ本研究では長短の判定がどのくらい正しいのか、1946-2004年のビルボードチャートTOP20を長旋法と短旋法、未分類という項目を増やした3つに分類し吉田のデータと比較、分析を行った。
日本の判定結果は1985年以降から長旋法が急激に増えてきた。そして日本と本研究で判定した結果を比較すると、双方とも1995-2004年では長旋法がおよそ65%、短旋法がおよそ35%であることがわかった。
吉田と本研究のデータと比較し一致した結果を見ると、1975年頃から短調が増えてきている。全体的に見ると1946-64年、1995-2004年はおよそ9割の判定結果が一致し、信頼性はまずまず高いのではないかと言える。しかし、1965-74年はおよそ6割が一致したが、吉田が長調、本研究では短調という判定で不一致なものが増えた。1975-84年は双方の意見が逆になる結果が4割を占め、一致した結果はおよそ5割である。1985-94年はおよそ8割の結果が一致するが、吉田が長調、本研究では短調という判定結果は2割弱程度であった。そのため、1965-94年は信頼性があるのかどうか疑問が残る結果となった。