メーカーがプロジェクターを発表する際、プロジェクターから投射される光の明るさをlm(ルーメン)で表し、カタログに記載する。ユーザは購入の際にはこのカタログ値を参考にすると考えられる。しかし、プロジェクターを実際に使用する環境はユーザごとに異なるものであり、必ずしもカタログ値と同じ値が得られるとは限らない。
PJ総合研究所発行の「PROJECTORS」では、独自の視点を持つために最新型のプロジェクター測定を行っており、8年前からは当研究室において春と秋、年二回のプロジェクターの測定を行わせていただいている。よりユーザに近い環境で測定を行い、結果をメーカーのカタログ値と比較、検証することで、プロジェクター購入時の参考にして頂くということである。測定には当研究室で構築した性能測定システムを以って行う。
室内の壁が白く光が反射してスクリーンの明るさに影響するので暗室を設営し、その中のスクリーンへパソコンや信号発生器やDVD・BDプレイヤーからプロジェクターへ信号を送り、投射した映像を測定して、写真撮影してカタログとの違いを見てみた。ユーザの環境に関わる項目としてファンノイズの測定もした。
ここ数回、測定動作は安定してきているが、現在低輝度レベルの測定があまり保証されていないことからデータの信頼性を確保できずにいる。現在使用しているトプコン製のBM-7では0.1㏅/?が保証されている最低のレベルである。視野角を大きくし、測定器の入力光量を大きくして信頼性の確保に努めているが、本質的には現在の手持ち計器の限界である。
またANSIの9点法に代わり全画面同時測定のシステム開発も進めているが、現在まで実用化するに至っていない。このやり方の難しさは通常の測定器と同じである。すなわち値付けと安定性の確保が問題である。しかし、今後測定の簡便さを実現するために確立しなければならないと考えている。