現在、コンピュータを使用する環境が広がり、障害者がコンピュータをはじめとしたマルチメディアを利用しながら健常者と同じく情報伝達が出来るように、障害者を対象とした障害支援ソフトウェアが次々と開発されている。
健常者の立場からすると身体障害はあまり身近なものではないかもしれないが、長期的、重度のものだけが障害ではない。
例えば、風邪をひいてしまって喉の痛みが酷く、上手く喋れなくなってしまったとする。一時的なものではあるかもしれないが、これも言語によるコミュニケーションにおける大きな障害となりうるであろう。身体障害の原因は人により様々であるが、我々の誰もが障害者になる可能性を持ちうるのである。
また超高齢者社会の現代において障害者はさらに増加する傾向にあると考えられる。事実、厚生労働省の調査によると、全国における在宅身体障害者の人口は2006年7月時の3,483,000人と2001年6月時の3,245,000人を比較すると238,000人(7.3%)と増加傾向にあり、様々な障害に対応できる障害支援ソフトウェアの開発が必要とされる。
そこで筆者は、様々な種類の身体障害の中の言語障害に焦点を当て、大学4年間の中で学んできたFlashを利用した障害支援ソフトウェアの作成を今回の卒業論文の研究テーマとして「ユーザビリティに配慮したマルチメディアの実践と研究」を挙げ、本研究に至った。