日本人の麺好きには長い歴史がある。しかしその日本に現在ある麺は、諸外国から伝来し、日本で独自の発展を遂げたものが多い。また「麺」と一言でいっても、そば、うどん、そうめんなど数多くの種類が存在し、国によってもその発展の仕方は様々である。近年では即席麺の普及によって世界のいつでもどこでも麺を口にすることが可能となり、麺文化が多地域へと渡ってきている。
本論では、日本に諸外国から伝わった「麺」がどのように当時受け入れられ、現在の我々の見ている姿へと変わってきたのか、当時の時代背景や世界情勢などを見ながら検証してゆく。まず第一章では、麺の素となっている小麦から麺文化が誕生してゆくまでを論じる。第二章では、中国で生まれた麺文化がどのように日本に伝えられ、庶民に広まってゆくか、またそこからの発達の行方を論じてゆく。第三章では、即席麺や近年の新たな試みなどの麺の変容ぶりを考察してゆく。