「市民による海外協力」を掲げ、数多くの市民が、バングラデシュの人々とともに、一つひとつの課題に対して議論に議論を重ね、失敗を踏み台にして経験を培ってきたシャプラニールは、進化するNPOとしてとどまることなく前へ前へと進んでいる。前半ではまず、シャプラニールの創設から組織化への道のりを、後半ではシャプラニールの現代の主な活動を論じている。現在シャプラニールは、組織のミッションとして、「南北問題に象徴される現代社会のさまざまな問題、とりわけ南アジアの貧しい人々の生活上の問題解決に向けた活動を現地および日本国内で行い、全ての人々が豊かに共存できる地球社会の実現」を掲げている。開発分野ではあまり語られることのない「共生」をキーワードに、富める者が貧しい者へ単に「援助」するという考えではなく、お互いが学びあうなかで「共生」していこうという姿勢をもちつつ、当事者らが主体的に社会を変えていくことを活動の原則に据えている。日本のひとつのNGOが活動を組み立ててきた軌跡から、関わった市民の熱い思いを感じ、日本NGOの現状、そして海外協力で果たすべき役割を論じる。