日本各地の街並みは、その土地の歴史や風土、住む人々や風景によって様々な特徴を持つ街並みとなっている。特に昔からの街の歴史を生かし、形成されている地域が多い。東京においては歴史や歌舞伎、落語など伝統が密集した浅草、ナイトクラブやバー、高級飲食店が多く集まる六本木、高級ブティックが立ち並ぶ銀座など、「その街の色」がある。そしてその色と深く関わりのある商業を中心として形成されており、例えば買い物をする際にまず訪れる街を選ぶことになる。そして渋谷は「若者の街」、「流行の街」などのフレーズが多くの人々に定着されている。特に渋谷ではファッションと音楽が最先端の街と言われおり、多くの人々が求めるものが渋谷の街に集まっているのだが、この最先端が揃う渋谷の街といった認識はつい最近に起こったことではない。ではいったいどのようにして「渋谷」が発展を遂げ、街が若者を取り入れ現在の「若者の街」となったのだろうか。
このような疑問に対し、渋谷の街の発展において、若者を取り入れる要素をつくりあげたこと、また、若者の多くがこだわりを持っていると思われるファッションと音楽を中心に、渋谷の街でいかに浸透していったのか、歴史や商業などの角度から「渋谷」の街と「若者」の関連性について論じている。