昨今の日本社会において、様々な「若者の問題」というのが大きな課題となっている。
なかでも卒業を身近に控えた私たちにとって、就業に関する話題、失業問題、フリーターやニートの問題というのは決して他人事ではない。さらに2007年以降のサブプライムローン問題に端を発する世界的金融危機の影響による景気の後退は、企業による内定の取り消しなど、私たちのごく身近なところにまで及んでいる次第である。
とかく責任の多くは若者自身にあるとされがちな「若者の問題」であるが、このような事象を目の前にして、そのすべてを若者に押し付けられてのではたまらない。
これらの現象を生じさせた責任は私たち若者にもその一端があるのかもしれない。しかしその責任は本当に私たち若者のみにあるのだろうか?
内閣府が毎年作成している報告書「国民生活白書」、その2003年の報告には「デフレと生活-若年フリーターの現在」という副題がつけられ、フリーターの現状が取り上げられていた。この白書によると、フリーターは、1990年の183万人から2001年の417万人へと大幅に増加したとある。わずか10年の間にその数は2倍以上にまで膨れ上がっていたのである。
また近年になってフリーター以上にその存在を危ぶまれているのがニートである。内閣府の「H17青少年の就労に関する研究調査」によると、2002年時点でニートの数は約85万人にまでなっている.。92年時点での数は約67万人であるから、その数はわずか10年の間に18万人も増加しているのだ。
現実問題として、フリーター・ニートの数は膨大なものになりつつあり、またフリーターを安価な労働力とみなしている企業がいるという事実がある。もはやこれらの問題は個々人の価値観の問題として終わらせるのではなく、もっと広く社会全体の問題として考え、取り組んでいく必要があると思う。
本論文では、これらニート・フリーター問題の実態とその対策について、また今後この問題がどのようになっていくのかについて考察していく。