内モンゴル地域の砂漠化は世界的に見ても目立つものになっている。その原因はずっと昔の歴史から追究されるはずである。歴史の各時代における漢民族の移住による開墾、その開墾に用いられている生産方式そのものが重大な原因である。先住民達に比べ士地への気持ちとしても一時的に金銭目的で生産を行い、その士地の持続的な生産状況を考えなかったことが砂漠化という現象を招いていると分かる。
この問題の実態を把握するために、リモートセンシングデータによる時系列分析がよく行われている。しかし、従来の研究は衛星データによる正規化植生指数(NDVI) の計算や土地被覆としての砂漠化土地の面積の比較にとどまるものが多く、砂漠化を起こした原因でもある農業政策の側面から総合的に考察した事例が少ない。本研究は中国内蒙古自治区ホルチン砂地を対象とし、生態システムの劣化を砂漠化の進行として捉え、 1960 年代のCORONA 偵察画像と1970 年代以降の多時期ランドサットTM画像を用いて土地被覆を分類し、40 年間にわたって、ホルチン砂地における砂漠化土地の遷移を定量的に分析した。そして、その結果を地域の農業データとあわせて検証し、過去の農業政策が砂漠化に与えた影響を分析及び研究した。