2008年7月12日、総務省が発表した2008年度版の情報通信白書によると、2007年末におけるインターネット利用者は8811万人で、全人口に占める普及率は69.0%である。このように現在の日本では、誰でも簡単にインターネットができる環境にある。 このインターネットの普及がもたらした最大の変化は、なんといってもコミュニケーションの方法だろう。ネットコミュニケーションのパフォーマンスを最大限に引き出せば、特にチームワークが必要な作業での情報共有に絶大な威力を発揮する。インターネットを介すれば、1対1のコミュニケーションに限定されず、離れた場所にいる複数の相手と同時にやりとりしたり、ドキュメントを添付して一緒に送ることもたやすい。同じデータを同時に参照することもできる。こうして地理的制約や内容、相手の人数に限定されず、双方向のコミュニケーションが可能となった。世界中の何十億という個人がつながり、社会や組織の壁を越えて新しいものを生み出せるようになった。
インターネット技術の発展は、社内、会社間、不特定多数の個人など、さまざまな対象領域でのコラボレーションに革新をもたらしつつあり、またコラボレーションに使用される媒体も文字、音声、静止画像、高精度のビデオ映像へと多様化している。想像もしなかった形でごく普通の人々や企業がつながり、まったく新しいことを実現したり、大きな成功を手にしたりする事例も数多く存在する。成功例はマイスペースやイノセンティブ、セカンドライフ、ユーチューブ、ヒトゲノム計画など、爆発的に増えている。いずれも、マス・コラボレーションを活用して参加者にとって大きな価値を生み出し、その結果驚くほどの成功を収めている。
そこで日本でのUCC・CGMの成功例として度々あげられる「VOCALOID2初音ミク」をピックアップし、ネットを介したマス・コラボレーションがもたらす創造の連鎖について考察した。