ドキュメンタリー作品『新体操〜未来の舞姫たち〜』の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成20年度卒業研究概要集] [平成20年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成20年度卒業論文
ドキュメンタリー作品『新体操〜未来の舞姫たち〜』の制作
川崎 涼子

この作品は、大阪府の「茨木新体操クラブ」に所属する、和田梨花さん(11歳)と川田美祐さん(10歳)という二人の小学生選手が、厳しい練習を重ねながら2009年度の「全日本新体操チャイルド選手権大会」をめざす姿を追ったドキュメンタリーである。

同クラブには幼稚園児から高校生まで約200名のメンバーが所属しており、その中から特に選抜された18名が選手育成クラスで、大会の上位入賞にむけて激しい特訓の毎日を送る。和田さんと川田さんは、この育成クラスの有力選手である。

番組ではまず味舌体育館における2人の練習風景を紹介し、二人から新体操を始めたきっかけや、これまでの実績(受賞歴)などを聞く。つぎに二人を指導し演技を作っているコーチの澤山さんと細川さんから、コンセプトや演技に込めた想い、注目してほしいところなどを聞く。続いて和田さんと川田さんの練習を見ながら、長所や短所を解説する。そして、これまでの練習の成果である演技を発表してもらう。最後に二人から、これからの目標を述べてもらう。

この作品で工夫したところは、主役である二人の選手が何について努力し、それをどう克服しようとしているのかといった点を視聴者に理解してもらうために、新体操をよく知らない人にも、その見どころや競技のルールなどについて、わかりやすく見せるようにした点である。こうすることによって、番組後半での二人の演技発表の場面も、興味深く見てもらうことができたと思う。

反省点としては、演技中のカメラアングルにあまり変化がなく、やや単調になってしまったこと、演技中の選手の表情をとらえることができなかったことである。取材したのが練習風景に限られて、二人の学校や家庭での様子などの場面がほとんどないため、選手の内面的な部分や、両親など周りで支えてくれている人たちを描くことができなかった。しかしこの作品の狙いは、新体操の見かけ以上の難しさや、精神力・体力の必要性、競技時間の1分30秒に懸ける子供達の情熱を描きたかったところにあり、その目標は達せられたものと考えている。

この作品の制作を通して、自分が見て感じているものを人に伝えることがどれだけ大変かということを感じた。ドキュメンタリーはドラマとは異なり台本がなく、現場に入って番組の構成を考えながら撮影を進めなければならなかったことが難しかったが、学ぶことが多く良い経験になった。