ドキュメンタリー番組『美しい湖沼〜手賀沼再生への道〜』の制作 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成20年度卒業研究概要集] [平成20年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成20年度卒業論文
ドキュメンタリー番組『美しい湖沼〜手賀沼再生への道〜』の制作
片平 裕貴
佐藤 武法

この作品は、千葉県北部にある湖沼、手賀沼の水質改善の歴史を紹介したものである。これまでも手賀沼の水質改善には、千葉県や地元市町村、地域の人々が一丸となって取り組んできたが、本作では千葉県環境生活部水質保全課による対策と、その活動の成果を中心にとりあげた。

番組ではまず、手賀沼の所在地と、これまでの水質汚濁の経緯について説明する。次に地域住民にインタビューをおこない、現在の手賀沼の環境についてどのように思っているかを聞く。人々は、近年の手賀沼は一時に比べるとずいぶん綺麗になってきたと証言する。そして、昭和20年代頃の写真を紹介しながら、かつて手賀沼流域は豊かな自然を誇り、漁業が盛んだったことが説明される。ここで千葉県庁水質保全課の生駒光弘氏にインタビューをおこない、手賀沼における水質汚染の原因や、その改善のためになされた施策の内容などを語って頂く。最後に視聴者にたいし、手賀沼の水質と環境保全についての意識を高め、自発的な協力が必要であることを呼びかけて番組は終わる。

この作品で伝えたかったのは、私たちの社会が発展し生活が豊かになるということは、自然環境への負荷を増すことでもあり、これからは自然との共生に配慮した開発のあり方を考えなくてはならないということである。本作では、特に県の取り組みを紹介したが、この問題は地域住民が皆で考えていかなくてはならない問題である。

本作ではこのテーマの難しさを視聴者にわかりやすく伝えるため、県の担当者に番組に出演して貰って、直接語って頂いた。出演依頼に応じて下さるまでの交渉は必ずしも容易ではなかったが、本作の趣旨を説明した上でご協力を頂戴することができ、行政からのメッセージを正確に伝えることができた。

ただ、完成した番組の中では、実際の水質改善施設などを紹介するカットが少なく、担当者らが現場で活動している状況も取材することができなかったために、映像による具体的な説得力がやや不足であった点に反省を残した。

この作品の制作を通じて、自分達の普段の何気ない行動によっても、身近にある環境を汚染する可能性があることを知った。身近な湖沼の環境保全についての意識が高まり、自分達にも何かできることはないかと考えるようになった。