「映画と映写機の原理と構造」にかかわるテキスト作成に関する研究 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成20年度卒業研究概要集] [平成20年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
伊藤 敏朗 ゼミ 平成20年度卒業論文
「映画と映写機の原理と構造」にかかわるテキスト作成に関する研究
石田 和輝

本研究は、映画と映写機の原理と構造を、一般の人々にわかりやすく解説したテキストを作成することを通じて、その理解の普及につとめるとともに、テキストの構成方法や表現のあり方について考察したものである。

テキストではまず、キネトスコープやシネマトグラフなどの映画が発明された歴史、フィルムの種別、映画が動いて見える原理などをひもとく。フィルムの種類は幅の大きさやパーフォレーションで区別することができ、サウンドトラックがあるものと無いものがある。映画は、複数の少しずつ異なる静止画を断続的に投影することにより、それを見る人間の頭の中で、静止画と静止画の間の像を描いてしまうという「仮現運動」という心理作用が働くことによって、動いている映像が感じられるのである。

次に映写機構部の構造について解説する。アパーチュアゲートで投影されるコマは映写ランプと映写レンズの間で静止し、これがシャッターで遮られているわずかな間にフィルムが送られ、次のコマにいれ替わって、シャッターが開くことで次のコマが投影される。この動きを間欠運動という。初期の映画では1秒間に16コマの投影を行っていたが、その後、トーキー化と解像度向上のために1秒間に24コマという現在の映画の規格が完成した。また回転するシャッターを2枚羽根にすることで、スクリーン上に投影される見かけ上のコマ数を1秒間に2倍(48コマ)に増やすことによって、フリッカーを軽減するという工夫もなされた。

次に音声機構部について解説する。光学サウンドトラックの場合、エキサイタランプの光線を絞り、その光線がサウンドトラックを透過して受光素子に達すると、その電圧の変化を音声信号に変換して音が再生できる。音声機構部では、フィルムの給装速度を平滑化するためにフライ・ホイールが用いられている。

映写機構部におけるフィルムの間欠運動と、音声機構部における滑らかな連続運動を緩衝するために、フィルムの装填の際にはループを設ける。このことによって、投影のための間欠運動と、音声再生のための連続運動という異なる運動を、1本のフィルムに両立させている点が映画映写機の構造の要諦である。なお、この構造のために映画フィルムの映写画面の位置と、そのコマの音声信号が記録されている位置はフィルム上の異なる場所にプリントされなくてはならない。

以上のように、複雑な映画の原理と映写機の構造について、本テキストでは平易な解説につとめつつ、写真や図を使うことで分かりやすい表現や構成を行ってまとめた。フィルム映画を鑑賞するためには映写機の存在は欠かせない。このテキストを制作したことで、これまで何気なく見てきた映画というものに、多くの発明や工夫、様々なアイデアがあったのだということがわかった。映写機の構造を理解したうえで映画を見ると、新たな発見ができることであろう。