すり足とは、地面(大相撲では土俵)から足の裏を離さず、"する"ように足を運ぶ歩行の事であり、足の内側に体重をのせ、重心を落としたまま足の親指を離さず移動をする歩行方法である。力士は必ず稽古や取り組みで行う事から、本研究ではこのすり足を行っている状態と行っていない状態のときに、何らかの衝撃を受けた場合、どのような違いがあるのかを比較、分析をした。実験は、通常歩行、腰を落とした歩行、すり足の三種の歩行で移動する被験者にロープでつるしたメディシングボールをぶつける形で行った。
結果は、すり足と腰を落とした歩行で動作開始時点での大転子点の高さに大きな差は見られなかった。しかし、歩行時の大転子点を比較すると差が見られ約5cmになった。この差は足を持ち上げて前に進むか、足をすり持ち上げないで前に進むかの差であると考えられた。
また、移動動作の比較から、ボールをキャッチしたインパクト後では、すり足が通常歩行より進んだ距離は短かったが、すり足はインパクト後も移動距離が他の歩行方法と比べて止まらず進んでいることが確認できた。
実験の結果、すり足は初心者が行っても重心を低く保ちつつ物を押す力を安定して出せる歩行方法 である可能性が伺われた。