人間というのは昔から、直接話し合いなどをするのとは別に、もう一つ利便性を追求した、メディアを媒介とする間接コミュニケーションを作り、それと密接に関係しながら生きてきた。現代社会になってもそれは変わらず、むしろ利便性に磨きがかかっている程だ。
だが、メディアを使った間接コミュニケーションには利便性がありながら、直接コミュニケーションを行うのとは決定的な欠点が常に付き纏わり、これは利便性に磨きがかかるのと比例して大きくなっていくものなのだ。
これについては、林 優二郎さんも「超技術社会への展開」という書籍で注意をしている。
「技術改新の速度はますます速くなっている。またそのことが、新しい政治的、社会的、経済的革新をも要求するのだが、われわれはこれに対処していくことができるであろうか。現に、われわれは、都市、大学問題などに関して、数々の困難に直面している。
〜中略〜
技術革新が今後も新しい問題を生み出すことになるだろうということだ。たとえば、コンピュータは、これまで、たんに計算を速やかに行うための手段であったものが、いまや、人間の理解を超え、制御の域を脱した環境を社会、政治、経済にもたらすことになっている。」
更に、その欠点というのは昔から考えると性質そのものが変化しつつある。この欠点というのは、主に「不便」と「無作法」の二種類に分かれる。昔のメディアにある欠点はあくまで「不便」の割合の方が大きくあったが、昨今のものは「無作法」というカテゴリに大きく当てはまるようになってきた。
これらを踏まえて、昨今の間接コミュニケーションは直接コミュニケーションを取るのとどういう違いが出てくるのか、メディアの技術進化に比例して大きくなっていく問題はどういうものなのかを調べることにした。