音楽聴取によって得られる癒し感の要因に関する研究 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成20年度卒業研究概要集] [平成20年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
西村 明 ゼミ 平成20年度卒業論文
音楽聴取によって得られる癒し感の要因に関する研究
東田 洸二

現在、音楽の分野でヒーリングミュージックと分野分けされるなど急速に音楽に癒しの要素が求められてきている。ヒーリングミュージックの中にも様々なジャンルがあり、そうでない曲でも癒しを感じる人間は多くいるので、癒しを感じさせる曲には何か印象や評価などの共通点があるはず、という疑問からこの研究を行った。

この研究は音楽を被験者に聞かせて、音楽の印象の評価を行ってもらうもので、音楽のどのような印象が「癒されたいときに聴きたいか」の評価に影響を与えるのかを見つけることを目的としたものである。実験は大学院生の高木俊一と共同で行った。

実験の対象者は、東京情報大学に通う学生計86名である。実験の概要はまず、被験者達に30秒+フェードアウト1秒に編集した曲をランダムな順番で情報大学内の教室で聴取してもらい、その曲に対する印象(迫力がある・陽気だ・きれいだ・鮮やかだ・ユニークだ)とその曲が好きか、癒されたいときに聴きたいかという合計7つの評価を7段階評価で付けてもらうアンケートを10曲分(ポップス・ロック・ダンス・ジャズ・ラテン・クラシック・クラシック・ワールド・声楽・邦楽のジャンルの10曲)行うというものである。

実験の結果の分析には、楽曲ごとに重回帰分析と散布図を用いて行った。

分析の結果、聴取者が曲を聴いて「癒されたいときに聴きたい」と感じる要因の一つとして、その曲が「好きか」という印象が大きく関わってくるということがわかった。また、曲の「きれいな」という印象が強い曲は「癒されたいときに聴きたい」という評価がされている、ということもわかった。

さらに、全曲分の評価データをまとめて重回帰分析と散布図を用いて分析し、ある楽曲に対する印象評価を用いた「癒されたい時に聞きたいか」の予測がある程度有効であることもわかった。