本研究について
このテーマに興味を持ったのは、広告代理店のインターンシップに参加したことがきっかけである。企業ウェブサイトを作る現場で職業体験をし、依頼主とのウェブサイトリニューアルの打ち合わせ現場にも同行させて頂いた。そこで初めて企業目線から見たウェブサイトの有用性を知ることが出来た。企業がウェブサイトを活用することで、営業支援や自社のブランディングなど様々なことが可能になる。
更に、ウェブサイトはコンシューマーにどのような有用性をもたらしているのだろうか。近年インターネットの発達により、コンシューマーの購買行動プロセスは大きく変化した。以前は、企業がマスメディア(新聞・テレビ・ラジオ・雑誌)を通して発信した情報から商品を認知し、興味を持てば店頭に赴き商品を検討し、その結果購買に至るというプロセスを経ていた。
しかし、今日コンシューマーはインターネット等を通して積極的に情報を得るようになった。購買行動においても、興味を持った商品をインターネット等で検索し、詳しい情報を得て購買に至るというプロセスが確立した。商品を購買する際にも、ネット上のeコマース(電子商取引)を利用するコンシューマーが増加している。更に購入後、商品の使用感などをブログやコミュニティサイトを通して情報発信し、他のコンシューマーと情報を共有するようになった。
コンシューマーが情報を得るウェブサイトも多種多様である。企業の公式ウェブサイト、もしくは商品に特化した公式ブログやコミュニティサイト。そしてコンシューマー自身が生成するメディア、CGM(Consumer Generated Media)の情報も重宝されている。CGMとは、個人の情報発信をデータベース化、メディア化したウェブサイトである。価格.comやアットコスメに代表クチコミサイト、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などがそれに該当する。商品・サービスに関する情報を交換するものから、日常の出来事を綴ったものまで様々である。そして、オンラインショッピングが普及しつつある今、Amazon.co.jpなどのユーザ数の多いオンラインショップも見逃せない。
本研究の意図は、これらのウェブサイトが、企業と個人にどのような有用性をもたらすのかを考察するものである。本論では、第一章で企業ウェブサイトと、企業とコンシューマーのコミュニケーションサイト(商品に特化したブログやコミュニティサイト)について述べる。第二章では、コンシューマーが情報発信をするCGMについて。そして実際にコンシューマーのクチコミが購買に結び付いているかを検証する。第三章では利用者が増加するオンラインショッピングについて考察する。第四章でそれらをまとめた考察を述べている。