情報表現の機能及びその効果についての基礎研究 -マンガにおける広告効果について- [東京情報大学] [情報文化学科] [平成19年度卒業研究概要集] [平成19年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
圓岡 偉男 ゼミ 平成19年度卒業論文
情報表現の機能及びその効果についての基礎研究 -マンガにおける広告効果について-
千葉 祐介

販促活動のひとつに広告による宣伝・広報活動がある。広告によって社会にアピールされた商品は消費者に様々なイメージを与えることになるのだが、「マンガの帯」についても同様に考えることができるだろう。マンガの帯には広告としての機能が備わっており、マンガの購入のきっかけとして必要な情報を十分に得ることができると思われる。

広告に対する研究は数多くの考察がなされているにもかかわらず、帯に限定すると、その機能から考えられる情報表現に関連した研究がほとんどなされていない。

本稿では帯の機能から情報表現の効果を研究するにあたり、「商業デザイン」という観点から分析した。

@現在の商業デザインが確立されるまでの過程をヨーロッパ美術から追う。

A商業デザインが販促活動の中でどのような効果をもたらしているのかを、レイアウト、配色、書体という3つの要素をもとに考察する。

B「消費者心理モデル」から分析することで、書物のデザイン(ブックデザイン)がマンガに与える影響、機能について論じる。

C業界不振にあるマンガ業界における今後の販促活動について、一般書物の実例を用いて考察する。

これらの分析の結果、帯は状況に応じた販促活動を行えるよう柔軟にデザインを変化させていることが判明した。それは市場に大きな影響力があり、「仕掛け」として出版業界で注目されていた。マンガの帯には情報を表現する広告効果があると思われる。また、帯には状況に応じて情報を発する形式を柔軟に変えることのできる他のメディアにない機能を見いだすことができる。この機能が出版業界においてどれほど貢献できるかは定かではないが、これが「帯」における情報表現の在り方と考えられるだろう。