情報と経済活動におけるアンビバレンス性に関する基礎研究-近年の自家用車に対する消費者の意識変化、及び消費者情報についての考察 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成19年度卒業研究概要集] [平成19年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
圓岡 偉男 ゼミ 平成19年度卒業論文
情報と経済活動におけるアンビバレンス性に関する基礎研究-近年の自家用車に対する消費者の意識変化、及び消費者情報についての考察
黒澤 周生

現代では、自家用車というものは大衆の生活に欠かせないものとなっている。ショッピングセンターには日々多くの自家用車があふれていることや、地方でも渋滞が問題視されていることなどからも、自家用車が多く普及していることがうかがい知れる。自家用車、つまり個人的な用途で主に使用される自動車であるが、本来人やモノを運ぶという目的で開発をされたものである。しかし、歴史が進むにすれ、社会的威厳や地位、自己満足、自己の所属している属性を示すためなど、本来とは違った目的においても使われるようになってきた。その選択基準は価格帯、ブランド、デザイン、機能など無数であり、何を重視するかは各消費者が求める基準があると考えられる。自家用車は、移動手段であるが衣服と同様に第三者から視線を受けるということから、その選択の意識は非常に複雑である。自家用車というものを所有することは、現在社会においては特別なことではないが、用途や選択に対して近年大きな意識変化が起こっているのではないかと思われる。特に、消費者が自動車に興味をなくしていると言われている。

その原因は現在の自動車産業ではマーケティングを重視し商品を消費者に提案していく「提案型商品」は一時的に成功をもたらしたが、現在ではそれが消費者のニーズに近づこうとする「消費者擦りより型商品」となってしまってきていると言える。消費者と生産者の間に考え方のずれがあるのは当然である。生産者はもちろん自動車を生産する立場として、消費者の欲求に答える努力を続けなければならないであろうが、生産者側が消費者の欲求に近づこうとしたあまり、現在では消費者の自動車に対する興味の低下を引き起こすという、アンビバレントな状況に陥ってしまったと言える。この現状はその一例ではあるが、現在の経済活動における消費者と企業の関係の問題性を如実に表していると言える。