文化表現の構造に関する史的研究 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成19年度卒業研究概要集] [平成19年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
圓岡 偉男 ゼミ 平成19年度卒業論文
文化表現の構造に関する史的研究
阿久澤 知之

現在、日本だけでなく世界中には美術館や博物館が数多く存在しており展示会・博覧会があちこちで頻繁におこなわれている。博覧会といえば、日本の中で大きなものは1970年3月14日開催の大阪万博、2005年3月25日開催の愛知万博を思い浮かべる人がほとんどだろう。なかでも先の大阪万博はアジアで初めて開催された大規模な万博であった。戦後の経済成長期を象徴する国際的なビックイベントで、6421万8770人という膨大な数の入場者を誇り、これは同時に世界の万博史上でもいまだに破られていない大記録である。

万博はアメリカ、フランス、オーストラリア、スペイン、などの国々の大都市を中心として開催されてきた。19世紀ではヨーロッパでの開催が多かったが、20世紀になってからはアメリカで開催されるようになっていき、20世紀後半からはアジアでの開催も見られるようになった。しかし、このように博覧会には150年以上もの歴史がありながら、その実態はあまり知られていない。

そもそも展示会・博覧会の定義とは何だろうか。国語辞典によれば、展示会とは「品物の作品などを並べて一般の人々に見せること」、博覧会とは「種々の産業や学術・技芸などの振興のために生産品、天然物、文化財などを広く集めて展示し、人々に見せる催し物」と書かれている。たとえば大阪万博でいえば"ワイヤレスフォン"とよばれる携帯電話に当たるものが紹介されて以降、国民に認知され現在では世界的に普及している。博覧会が私たちの日常生活に与えた影響などについては、ほとんど意識されていないのではないだろうか。

そこで世界初の万国博覧会、イギリスのロンドンでおこなわれた博覧会の会場である水晶宮(クリスタルパレス)を例にあげ展示会・博覧会の社会での位置づけ、影響、役割について考察し、分析していきたいと思う。