日本社会における在日コリアン‐千葉朝鮮初中級学校の生徒へのアンケート調査からの分析 [東京情報大学] [情報文化学科] [平成19年度卒業研究概要集] [平成19年度ゼミのリスト] [ゼミ学生一覧]
柴 理子 ゼミ 平成19年度卒業論文
日本社会における在日コリアン‐千葉朝鮮初中級学校の生徒へのアンケート調査からの分析
荒井 喬

21世紀となり、今では何も問題もなく日本社会に適応しているようにみえる在日コリアン。しかし、多くの人は未だに成長過程で日本人による差別、偏見にぶつかっている。むしろ、公に出ないだけであって今まで以上に陰湿なモノになっているように考えられる。

21世紀はまず間違いなく、日本の世界の中での位置が大きくかわる時である。そして、アジアという中でみれば、それはもっと大きなことである。アジアの経済は今、大きく変わりつつある。その中で日本は多くの国に頼る形でその経済を保っている。日本がこれからも生き抜くには、グローバルな目をもつことが必要とされる。

私がこの在日コリアン問題を研究するきっかけとなったものは映画「パッチギ」である。この映画は、在日コリアンと日本人の学生との暴力事件が最も激化していた時代の話であり、現代で生活している私にとって、驚くべく事実であった。そしてこの歴史を見直し、戦後60年以上が経った今もまだ続く在日コリアンへの民族的な差別、偏見などの現状を知り、今後の日本人との本当の共存を考察することが必要だと感じたのである。

この日本で、今でも多くの在日コリアンと呼ばれる人々が暮らしている。その中で、私は千葉県の新検見川にある千葉朝鮮初中級学校を訪問して、在日コリアンの民族教育の現状を見ることができた。その姿を見たとき私は、今まで私たちが受けてきた教育は本当に全てが正しいものかどうかという疑問が浮かんだ。そこで、私は千葉朝鮮初中級学校の学生達からアンケートをとることにより、在日コリアンの若い世代の意識を知ることができた。そして、この結果から在日コリアンにおける民族教育の重要性を知ることができ、同時に日本による差別の現状を知ることができた。

在日コリアンを取り巻く環境において、差別問題は必ず関係しているといえる。そして、それは今も昔も変わらないのである。現代では様々な要因により、この差別が見えにくくなってきており、日本人からこの問題を忘れさせてしまう危険性があるのである。

これからの国際化社会において、非難の対象でもあるこの在日コリアン問題をどのように解決の方向にもっていくか、そして日本が犯した侵略戦争に対してどのように責任をとるのかが重要な課題となるのである。